2015.5.6
『繋がる』
というキーワードで
必ず思い出す、
わたしが大切にしている「原体験」があります。
これまでにたった1人にしか話したことのない話。
わたしが小学6年生のとき
集団登校の団長をやっていました。
10人くらいの子の先頭にたって
学校まで先導して連れていく役。
その集団の中に
2年生のNくんという男の子がいました。
体が小さくて、いつも下向き加減で、
話しかけても目を逸らして何も喋らない。
そんな子でした。
だから、他の子は全然相手にしない。
話しかけない。気にもとめない。
学校内で見かけても、
誰かと一緒にいるところをみたことがなかったし
なんかいつ見ても楽しそうではなかった。
世話焼きで正義感の強かったわたしは
そんなNくんが最初から凄く気になっていて。
「特別何かしてあげたい」わけじゃなく
ただ、Nくんという人間を「知りたいな」と。
Nくんが、どんなことに興味を示し
どういう事に反応し、どんな事で笑顔になるのか。
で、朝Nくんが
集合場所にやってくると、
ヘルメットの奥に隠れてる顔をのぞき込んで
「おはよう」っ声かけました。
何日も目を逸らされました。
何日もへの字口で無反応でした。
でも続けてたら、
だんだんNくんが照れるようになりました。
目を合わせてくれるようになりました。
蚊の鳴くような声で「おはよう」って
返してくれるようになりました。
言うまでもなく
わたしは、ものすごく嬉しかったです。
Nくんが心を開いてくれてるのが分かり、
ものっっすごく嬉しかったです。
だーれも知らないんです。
Nくんとわたしが、
そんな風に密かに交流を重ね
心を通わせ合ってたこと。
登園時だけの
短いコミュニケーションだったけど
目を合わせて笑顔で挨拶をする。
Nくんのペースで受け答えする。
それを、目を合わせて受け止める。
そんな毎日が続き
気がついたら、
Nくんは私にだけ
照れながらよく話をしてくれるようになりました。
後々知りましたが、
おうちでもほとんど喋らない子だったそうです。
でも、わたしには
沢山話してくれるようになってました。
そんな仲になって
ある日の校内イベントにて。
遠くでノブくんの姿が見えて、
彼と目が合いました。
彼、満面の笑でわたしに微笑んでくれました。
長く、「留める」ように。
心を送るように。想いを預けるように。
時間が止まりました。
わたし、あの瞬間、今でも鮮明に覚えてます。
あーーわたし、繋がってる。
Nくんと、繋がってる。
彼と、完全に「心が繋がった」瞬間でした。
別に、なんにもないんです。
ほんとに、たったそれだけのこと。
フツーのことかもしれません。
でも、わたしにとっては
何物にも替え難い
幸福感と安心感と充足感と達成感で
感極まりない瞬間だったのです。
シビレました。
7歳の男の子の本気の笑顔を
11歳の女の子が贈られたんです。
受け取り、交わしたんです。
思い出すと、いつも、胸が熱くなります。
大人になって
大事なことを思い出したいとき、
人生に迷っていたとき、
自分を探していたとき、
いつもふっと頭に浮かんでくるんです。
それがなんなのか
最近になって分かったんですよね。
それが、わたしにとって
「心と心を繋ぐ」
ことの原体験だったんだって。
もう1つの原体験もあるんだけど
それはまたの機会に。
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